学科紹介
卒業生の声(2022年度)
2022年度に寄せられた、卒業生の声を紹介します。
鉄道関係研究者
(2018年度数学科卒)
私は本学数学科を卒業後、他大学の修士課程(数学系)に進学し、現在は鉄道の輸送計画作成・運行管理業務の支援に関する研究開発に携わっています。
高校生の頃、数学の計算自体は得意ではなかったものの、公式の導出や、証明の構造について考えることが大好きでした。当時、数学の授業を担当されていた恩師から「高校の数学と大学の数学は全くの別物だ」という話を聞き、学問としての数学はどのようなものだろう?という率直な疑問から、数学科への進学を決意しました。実際、大学での学びは、数学の抽象的な概念の理解から始まり、それが様々な自然現象を記述する基盤となっていることに強く興味を持ち、数学に没頭しました。数学の応用範囲は想像以上に幅広いことを知り、様々な経験をする中で「大学での研究を、実社会、とりわけ鉄道に活かせないか?」と考えるようになり、現在に至ります。
私の所属する研究機関には、車両から信号、人間科学など、鉄道技術に関する様々な研究者が在籍しており、出身分野も様々です。そのような環境で数学出身者に求められる能力は、「考えたい問題や自然現象を数学の言葉に落とし込み、抽象的な理論を用いて一歩引いた視点で問題を扱うこと」だと考えています。部署を跨いで数学的な質問をされ、自身の勉強不足でなかなか対処ができず、もどかしい思いをすることもありますが、数学が実社会に生かされていることを実感し、勉強に励む日々です。
日本にはまだ理工系の女性が少なく、「女性の力を」と叫ばれている昨今ですが、その本質は、性別等に関係なく、その分野を志す人として平等に期待され、努力・能力が認められることだと考えています。実際、津田塾は女子大学のため、性別を意識する場面がほとんどありませんでした。そのような環境において、理工系の研究者としての第一歩を踏み出せたことは、私にとって大きな財産だったと考えています。