学科紹介
卒業生の声(2021年度)
2021年度に寄せられた、卒業生の声を紹介します。
メーカーAI研究者
(2015年度数学科卒・2017年度理学研究科卒)
高校生のとき、暗記が苦手な私にも勉学の楽しさを教えてくれたのが数学でした。単語を覚えなければいけない英語や古文は万年赤点、理科や社会科目もまったく振るわない中で、数学だけは学年5本の指に入る成績を取って担任を不思議がらせていました。もし高校の教育課程に数学がなければ、私は学問に対する大きなコンプレックスを抱いたまま社会に出ていたかもしれません。
数学しかできない私に対して、両親が冗談めかして「数学科には就職先がない」「大学院に進んだら婚期を逃す」と言ったことも覚えています。しかし私が数学科に在籍した2010年代は第3次AIブームの真っただ中。確率論や統計学を基にしたビッグデータ解析、様々な数学的工夫が練りこまれたディープラーニングの発展によって、IT分野のみならず産業界全体の価値観が変わりゆく時期でした。この波に乗って電機メーカーに就職した私は、AI・データ分析技術の社会実装を推進する研究員として働いています。 弊社の研究開発部門には様々なバックグラウンドの人間がいます。出身分野はセンシングや通信、画像処理、光など多種多様で、入社後に全く違う分野を担当することも少なくありません。しかし、数学は全ての科学の根底を流れる水脈なようなもの。数学しかできなかった私は、津田塾での6年間で「どの分野にも役立つ知恵」を身に着けたと感じています。
数学が好き、得意な人はもちろん、将来展望が明確に決まっていない人にもお勧めできるのが数学科です。是非津田塾の数学科で、自身の可能性を模索してみてください。
特許技術者
(2017年数学科卒・2019年理学研究科卒)
私は現在、特許事務所で特許技術者をしています。特許技術者の主な仕事は、企業や大学等で開発された技術を伝えるための文章を作成することです。
在学時を振り返り、改めて良かったと思うことの一つ目は、学習するための施設や環境が充実していたことです。私は在学中、先生方の研究室の傍にある学習スペース(自習室)や、図書館等を利用して数学を勉強しました。特に自習室は、空き時間に自習をしたり、数人で集まって学習をしたりする際に、数学科の生徒が優先的に使えたので利用しやすかったです。私は自習室で、ゼミ(研究室・分野を選び、教科書を中心に少人数で研究・学習をする授業)のメンバーと一緒に学習したことを覚えています。自習室には数学書の用意もあるため、ちょっとしたことを調べるにも便利でした。また、数学科の設置されている小平キャンパスは、学内、学外ともに自然が多く落ち着いた環境なので、集中して学習に取り組むことができました。気分転換に散歩することもおススメです。
二つ目は、学生同士で教え合う環境が整っていたことです。例えばお昼休みには、大学院生へ質問できるコーナが設けられています。私は、分からない問題などを質問したり、進路のことについて相談をしたりしていました。卒業後、私は大学院に進学しましたが、その時は学部生から質問を受ける立場になりました。 学部生からの質問は、授業・ゼミ等の内容が中心でした。学部生が分からない、という部分について一緒に考え、解決のためのサポートをすることができたかと思います。
私が現在、仕事をしていて実感していることは、物事を論理的に整理する力はとても重要だということです。数学科での学習は、このような力を培うためにも、とても大切なものになると思います。はじめのうちは、数学の文章や、言葉の定義に慣れず、難しく感じることもあるかもしれません(私はそうでした)が、一つ一つ、自分の理解と丁寧に照らし合わせていけば、理解できる時がくると思います。このような作業にじっくりと取り組むことは、大学生活において貴重な時間になると思います。また、考えていたことが分かるようになったとき(証明ができたとき、理解できたとき)は、非常に嬉しい経験になると思います。